さかなのためいき、ねこのあしおと

スウェーデン滞在記。現地時間の水曜日(日本時間の水曜日午後~木曜日午前中)に更新します。

荷物運びまたは筋トレ

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今日は、引越しが大変だった話です。無駄に長いです。

今回の引越しに当たり、ドイツから日本へダンボールを3箱、スウェーデンへ4箱送りました。制限容量ぎりぎりの20キロを1箱につめるのですが、車がないのが悲しいのはこんなときであって、前の週からいらないものを少しずつ送り始めてはいたものの、結局、引越し前日の2月29日は、住居と郵便局の間を3往復しました。

3月1日は、27キロの(2キロオーバーを見逃してくれた空港の人ありがとう)スーツケースを持って移動。ウップサラは石畳の多い街なので、スーツケースを転がして歩くのは無理で、駅から学生寮を管理するオフィスまではタクシーで行ったのですが、その先、家まではスーツケースを持って歩きました。寮について、ご飯を食べたり、荷物を片付けたりして、夜の10時ごろに論文書きを再開したのですが、キーボードを打とうとすると両腕に激痛が。次の日orその日に筋肉痛になるのはまだまだ若い証拠と喜びつつ、ヒィヒィ言いながら論文を書きました。

荷物は、到着前に届くと受け取れないので、学生寮を管理する事務所あてに送ったのですが、てっきりそこで預かっていてくれるのかと思いきや、郵便物取扱店に取りに行くハメに。スウェーデンは、民営化して以来、郵便局が減り、コンビニのようなところで、かなりの郵便業務を代行するようになりました。しかも、ドイツでもそうでしたが、最初に来たとき不在だと、指定された場所に自分で荷物をとりに行かなければなりません。それなら、せめて最寄のところに置いてくれればいいのに、そこは無常の人の世の習いで、自分の荷物がどこにあるかは運次第。すでにとどいていた二つの荷物は、別々の場所にあり、しかも、地図を見たところ、歩いて30分はかかりそうな場所でした。

3月2日、日曜日。もう一個の取扱店は日曜日はお休みだったので、とりあえず、開いている方に預けられている荷物を取りに出かけました。20キロのダンボールをどうやって運ぼうかと思ったのですが、幸い、寮の共同台所に手押し車があった(多分、パーティでお酒をたくさん買うときに使うんでしょう)ので、これを拝借して出かけました。この日のウップサラは雪。ただでさえアジア系が少ないのに、日本人がからの手押し車を引いて、地図を見ぃ見ぃ進む図はめずらしいと見え、注目を浴びました。ようやく同じ名前の通りを探し当てたのですが、番地が途中で切れてて見つからない。こういうときは会話練習を兼ねて誰かに聞くに限ります。幸い、親切そうなおばあさんがやってきたので、住所を書いた紙を見せ、「スミマセン、コノ番地ニ、郵便物ヲ取リニ行キタインデスガ」。返ってきた答えは、「なんてこと!残念だけれど、あなたは道を間違っていますよ。郵便局はここ・・・」。がっくりしながら(「ここなら20分でこれたのに」)、リヤカーを引いて今来た道をとぼとぼと戻りました。ところが、おばあさんが地図に印を付けてくれた場所に行くと、たしかに郵便局はありましたが、閉まっていました!でも、もらった紙には、日曜日も3時まで開いてるって書いてあるし・・・、それに、番地もおかしくないか?よく見ると、わたしが行かなきゃならない場所は、Kungsängsgatan で、今いる場所は、Kungsgatan。おばあさんが間違えたんですね。
気を取り直してさっきおばあさんと会ったあたりまで来て、今度は、ガソリンをついでいるギュンター・グラスに似たおじさんに聞きました。さっきは人に番地を読ませたから失敗したのであって、同じ轍は二度と踏むまい。「スミマセン、くんぐ・せんぐす・がーたんの××タバコ店ヲゴ存知デスカ?」。ギュンター・グラス似なのに、親切なおじさんは、「ああ、知っていますよ。クングス・エングス・ガータンはね・・・」。切るとこ間違えたー!sは前に付くんだ。教えてもらった場所はさっき間違えて行ったところより、さらに自宅に近く、ついでに言えば、夏に行ってた語学学校の向かいでした。3時閉店で、1時前に家を出たのに、この時2時50分。荷物を引いて、家に帰ったときには、3時20分でした。

3月3日、ひな祭り。昨夜の雪がうっすら積もって、かなり寒かったこの日。昨日間違っていったところよりさらに遠くまで、大通りをいくつも越えて、リヤカー引いていきました。40分近くかかりましたが、この日は、道を間違えず、対応したのは、金髪でかっこいい、筋肉モリモリのさわやかお兄さん。幸先いいぜと思っていたら、お兄さん、いくら探してもわたしの荷物を見つけることができず、どこかに電話をかけ始めました。電話の会話は聞き取りやすいので、ヒアリングの絶好のチャンス!全身を耳にして聞いていると、「ええ、分かりました。クングス・エングス・ガータンですね」。おいおいおい!「すみません、荷物は移動してしまいました。今は、クングス・エングス・ガータンの××タバコ店が保管しております。場所はお分かりですか?」「(ええもう、イヤというほど)存じております」。よりにもよって昨日と同じ場所じゃなくてもいいのに。
というわけで、またからのリヤカーを引いて、とぼとぼと戻りました。この時点で、ただでさえドラクエの勇者の走行距離を越えているのに、今日の店と昨日の店は、自宅を中心にちょうど正反対。荷物を受け取って自宅に帰ったときには、出かけてから3時間経っていました。

3月4日、火曜日。3つ目の荷物は、幸い、事務所が保管してくれていたので、取りに行くのにたいした苦労はありませんでした。

4つ目の荷物は、送ったのが出発前日だったので、事務所ではなく、寮宛にしてありました。いない間に届けられてまた取りに行くハメになってはかなわないので、荷物が来そうな5日は自宅に待機していたのですが、結局届かず。6日にも来ないので、さすがに不安になり、HPの追跡サービスで検索すると・・・「3月5日10時27分、配達したけどおらんかった」。これには、さすがにキレました。で、配送のお問い合わせというところを見ると、電話番号とメールアドレスがありました。電話のほうが早いかなとも思いましたが、延々待たされたり、たらいまわしにされたりした挙句、分かりませんと言われて電話料金だけとられそうな予感がしたし、メールは確認し次第返信と書いてあったので、メールを出しました。が、その日はついに返信がなく、7日夕方、ポストに不在票が入っているのを見つけました。・・・が、今度は、字が前衛的過ぎて、書いてある住所が読めません。最初がSで、4文字か5文字なのは分かりますが、あとは解読不能。仕方がないので、ウップサラの地図を見て、最初がSで、4文字か5文字の通りを探したところ(気分はベヒストゥーン碑文を解読する考古学者)、今度は近くに、それらしき住所がありました。

3月8日、土曜日。4度リヤカーを引いて、その住所に向かいました。今度は取扱店ではなく、郵便局で・・・土日休みでした。この荷物には、服とドイツ語の辞書が入っていて、本当は早く欲しかったのに。

3月10日、月曜日。再度取りに行き、無事受け取りましたが、縦長のダンボールが横向きに置かれ、一辺が丸々裂けていました。幸い、中身には影響はありませんでしたが。帰ってメールチェックをすると、問いあわせたメールに返信がありました。「不幸なことに、荷物は追跡できません。送った人に聞いてください」だそうです・・・。

書いてみると腹立たしいようですが、ドラクエの勇者の気分やベヒストゥーン碑文を解読する考古学者の気分が味わえたし、無常の世の習いも分かったし、筋肉もついたし(多分)、やせたし、何より、それにもかかわらず、荷物がすべて無事だったので、まあいいとしましょう。ただ、日本も、郵政民営化はやめた方がいいのではないかと思います。