さかなのためいき、ねこのあしおと

スウェーデン滞在記。現地時間の水曜日(日本時間の水曜日午後~木曜日午前中)に更新します。

春ぞ近づく~よいお年を

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わたしが新聞で真っ先に、必ず読むのは、文化欄です。朝日新聞を取っていたころ、その中で一番は大岡信の「折々のうた」でした。わたしのことを、古典や日本史に通じていると思っている人が時々いますが、実は、試験において、古典と日本史は失点原。わたしの和歌の知識は、もっぱら「折々のうた」とNHKの番組「古典への招待」によるものです。

ある年の大晦日、「折々の歌」に載っていたのは、紫式部の歌でした。

年暮れて わがよふけゆく 風の音に
こころのうちの すさまじきかな

「わがよふけゆく」は、「夜が更ける」と、自分の「世」=時代が老けていくことがかけてあります。わたしはこれで紫式部にはまり(字あまりの効果がすばらしい)、『紫式部集』で確認したところ、この歌を、紫式部は28歳で作ったとのことでした。当時は12~3歳で成人式(男の子はいわゆる「元服」をしますが、女の子の場合は、「裳着」といって、エプロンのようなものをはかまの後ろにつける儀式があります。おひなさんの後ろ側についている、あれです。この儀式は、今の七五三の起源にあたります)、紫式部は42歳で亡くなっていますが、それでも、28歳でこれを詠むのはすごいと思います。

その次の大晦日、作者名は忘れましたが、以下の歌が載っていました。

木の葉なき むなしき枝に 年暮れて
また芽ぐむべき 春ぞ近づく

「芽ぐむ」は、「涙ぐむ」と同用法で、「芽がちょっとだけ出る」ことです。

和歌を作れない俗物のわたしは、ブランデンブルク門に花火を見に行きました。写真はその時のものです。