さかなのためいき、ねこのあしおと

スウェーデン滞在記。現地時間の水曜日(日本時間の水曜日午後~木曜日午前中)に更新します。

クリスマス・マメ知識1~サンタクロース

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12月にはいると、ドイツでは、「待降節」という、「クリスマスを(指折り数えて)待つ時期」にはいります。この期間には、リースやツリーに4本のろうそくを立て、灯す本数を週ごとに一本増やしたり、この時期特有の日めくりカレンダーをめくったりします。街には仮設の遊園地が出て、屋台もにぎわいます。

『やかまし村の子どもたち』には、一年でどの季節が一番好きか、という話題で始まる章があり、アンナはクリスマス以外では夏が一番だというけれど、わたしは春が一番好きだ、もちろんクリスマスを除けばの話だけれど、というような文面があります。クリスマスが一番、というのは、議論の余地なく自明のことのようです。

その他の文学でも、たとえば『マッチ売りの少女』や『フランダースの犬』の主人公は、クリスマスに望みがかなうという形で天に召されますし、イプセンの『人形の家』は、クリスマスまでの3日間を扱っています。『若草物語』は、「プレゼントのないクリスマスなんて…」と姉妹が不平を言うシーンで始まり、大変な一年を経てそれぞれが自分の弱点を克服し、次の年のクリスマスに欲しいものを手にいれて終わります。わたしが修論で扱った『イェスタ・ベルリングのサガ』も、クリスマスから次のクリスマスまでの一年間を扱っていました。

このように、キリスト教文化圏ではクリスマスは最重要行事なのですが、一方で、日常生活や民間信仰との結びつきが強く、国・地域によって、祝い方はさまざまです。

ということで、今日からクリスマスまで、3回にわたり、わたしが知っている、クリスマスに関するマメ知識をご披露したいと思います。

クリスマスといえば、サンタクロースですが、サンタクロースの起源は、聖ニコラウス(サンタ・クラウス)という聖人です。この聖人は、子どもの守護聖人であり、祭日12月6日(今日ですね)がクリスマスに近いことから、民間信仰の中で、クリスマスと特別なつながりを持つようになったと言われています。

ただ、サンタクロースは、必ずしも各国共通でプレゼントをくれるわけではないらしく、わたしの日本での現指導教官(ドイツ人)は、小さいころ、「クリスマスマン(Weihnachtsmann)」は、悪い子を袋に入れて連れて行くんだと習ったそうで、とても怖かったと言っていました。

「クリスマスに恵みをもたらす老人」は、北欧の民間信仰の「クリスマスの小人(ユール・トムテンJultomten)」を起源としています。たいていは小さなおじいさんとしてイメージされ、クリスマスにユールトムテンが来た家庭には、その先一年の幸せが約束されます。

現在では、サンタクロースといえば、赤字に白い縁取りのある服が定番となっていますが、これは、コカ・コーラがデザインしたものが起源だそうです。このデザイナーは北欧出身で、「クリスマスの小人」をモデルにサンタクロース像をデザインしたようですから、現在のサンタクロース像は、キリスト教民間信仰アメリカ資本主義を足して3で割ったもの、といったところでしょうか。ちなみに日本には、明治時代に、この「商業化されたサンタクロース」が入ってきたのですが、初期の絵本には、「北国の老人 三太九郎」として登場するそうです。