さかなのためいき、ねこのあしおと

スウェーデン滞在記。現地時間の水曜日(日本時間の水曜日午後~木曜日午前中)に更新します。

ウップサラ1 イングマール・ベルイマン

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7月30日、イングマール・ベルイマンが亡くなりました。ウップサラ出身ということで、今週のブログで紹介(するほど知らないですが)しようと思っていた矢先でした。その日の夕方、スーパーに行くと、夕刊の見出しに大きく出ていて、その新聞はもとより、テレビのニュースも、次の日の新聞もベルイマンで持ちきりでした(今手元にある新聞では、なんと30ページ以上!)。ドキュメンタリーも放送されて(写真)、ベルイマンが言っていることはほとんど聞き取れなかったのですが、劇のせりふなどは比較的わかりやすかったです。

わたしは映画にはあまり詳しくないのですが、ベルイマンスウェーデン人ということと、今博論で扱っている作品の主人公と同名ということでなんとなくひいきにしていて、スウェーデン語を始めたばかりのころ、『第七の封印』をビデオで見ました。スウェーデン語を聞き取ろうと思ってがんばったのですが、全く聞き取れない上に、字幕ばっかり見ていたせいで、気が付くと筋が分からなくなっていて悲しかったです。もっとも、ベルイマンの映画は難解らしいので、筋を追っていたら分かったかどうかはなぞですが。ちなみに、シュワルツェネッガーの映画『ラスト・アクション・ヒーロー』の終わりのへんに出てくる死神はベルイマンの映画ネタで、確か『第七の封印』のだったと思いますが、近ごろブログにうそばかり書いているので、明言しません(笑)。

ベルイマンの最後の作品は、2003年の『サラバンド』。御年85歳で初めてデジタルで撮ったらしいです。もともとテレビシリーズとして撮ったのを作りなおして映画として公開したもので、わたしは2006年の冬に渋谷の映画館の単館上映で見ました(スウェーデン以外で公開されたのは、アメリカやイギリスなどごく少数だったようで、日本にいたわたしはラッキー。ドイツでは劇場公開されていず、DVDもありません)。30年前に離婚した老夫婦を筆頭に、夫の息子、その娘からなる親子三代がドロドロするという、どう考えてもわたし好みでないストーリーだったものの、スウェーデン映画なのと、バッハの『無伴奏チェロ組曲』をモチーフにしている(三代目に当たる若い女の子が、何もない白い部屋で、ひたすらバッハを弾くCMはカッコ良すぎでした)ので行ってきたのですが、今思い出しても、映画を見ていた2時間は、濃密で贅沢な時間だったなあと思います。ビデオも出ているようなので、時間のある方は、ぜひ。二代目役のビョルン・アールステットの演技は特に凄かったです(この役者は、プライベートでもベルイマンと仲が良かったらしく、追悼特集のインタビューに出ていましたが、映画とはまったく別の人に見えました)。