さかなのためいき、ねこのあしおと

スウェーデン滞在記。現地時間の水曜日(日本時間の水曜日午後~木曜日午前中)に更新します。

ざりがに・パーティー

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スウェーデンの夏の風物詩といえば、ざりがにです。今年は8月1日が解禁日だったのですが、前の週から、スーパーでもざりがに・パーティーグッズを売っていました。ポップでは、ざりがにが楽しそうに踊っています(ざりがには、別に楽しくないと思いますが)。

ということで、語学学校でも、ざりがに・パーティーがありました。

リンドグレーンの『やかまし村』シリーズの最終巻『やかまし村はいつもにぎやか』に、ざりがにを取りにいく話があって、本の表紙の挿絵は、そのエピソードから取ってあります。子どものころは、夏休みの話なのにその挿絵の子どもたちがセーターと帽子をかぶってたき火を囲んでいるので、夏休みは間違いで冬休みの話ではないかと思ったり、でもそれだと他の章とのつながりが悪いから、へんだなあと思ったりしたものです。話の中で、ボッセというちょっとぼんやりした男の子が、「悲しそうな目をしている」という理由で取ったざりがにの一匹を逃がしてやり、お兄さんのラッセ(冴えている)に、もうこれで逃げたざりがにが湖中のざりがににあそこは危険だといって回るから、今年はもうざりがには取れない、「ばかだな、君は!」と怒られるシーンが好きでした。

今年はボッセが利口になってザリガニを逃がさなかったのか、それとも逃げたザリガニが充分に伝達しなかったのか、パーティーではたくさんのざりがにがゆでられて真っ赤になっていました。

わたしは初めてだったので、どきどきしながら食べたのですが、わたしには、正直、見た目が厳しかったです(悲しそうだし)。わたしはかには好きだし、魚の目も好きなので、何でざりがにはだめなのかと聞かれると困るのですが、ざりがにはやっぱりざりがにです。味は・・・塩ゆでしてあるので塩味なのですが、わたしは、実は淡水魚(どじょうとか)が苦手。ざりがにも淡水魚的なにおいがしました。おいしいと思って食べなければ申し訳ないとは思ったのですが、話題づくりに一度食べればそれでOK、というしろものでした。

ですがこのパーティ、思わぬ収穫がありました。時間の経過につれて、半数以上を占めるドイツ人たちが盛り上り(出来上り?)、最後にはいすの上に立ってビール片手に、肩を組んで歌いだしたりしたころ(ヴァイキングの宴みたいで、かっこいい!)、わたしと、隣に座っていたハワイの言語学教授の周りには、学者サークルができつつありました。そこで、バークレー(!!!)で、北欧学で博士論文を書いている学生と知り合いになりました。その学生、専門は古代北欧なのですが、わたしがベルリンで世話になっている先生の本を読んでいて、おまけにリンドグレーンの『はるかな国の兄弟』の愛読者で、そんなこんなで、すっかり盛り上がりました(しかも、スウェーデン語で。向こうはぺらぺらなのにゆっくりしゃべってくれて、わたしの間違いだらけの文を我慢して聞いてくれただけなのですが、四月には自己紹介くらいがもめてたことを考えると、結構進歩したと思います)。バークレーは、規模は小さいながら、古代北欧学の一大拠点(と本人が言っていた)。北欧学は、どこでも程度の差はあれ細々とやっていて、個人が手にできる資料や情報の数・質が限られているので、研究者同士のつながりが非常に大事です。特に、自分と境遇の近い若い研究者と知り合うというのは貴重なチャンスなので、ざりがに・パーティに感謝しなくてはなりません。