早いもので、もう6月になりました。5日に、ゼミでの発表が無事終わり(ちょっと自慢>先生に、わたしが書いた文章はとてもスリリングだったし、ドイツ語が上手くなったねってほめられました)、ためになる助言をいろいろもらえて、やる気が出ました。
さて、6月といえば、わたしは茨木のり子の「六月」という詩がとても好きでして(というか、この詩で茨木のり子のファンになりました)、今日はそのご紹介です。
六月
どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終わりには一杯の黒麦酒
鍬をたてかけ 籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける
どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮れは
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる
どこかに美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となってたちあらわれる
なんとなく南ドイツな感じがするのは、黒ビールのせいでしょうか。
これは教科書とかにも載っていて結構有名なので、同じ『見えない配達夫』に載っている、最近お気に入りの『ぎらりと光るダイヤのような日』から、最後の3連を引いておきます。
世界に別れを告げる日に
ひとは一生をふりかえって
じぶんが本当に生きた日が
あまりにすくなかったことに驚くだろう
指折り数えるほどしかない
その日々の中の一つには
恋人との最初の一瞥の
するどい閃光などもまじっているだろう
〈本当に生きた日〉は人によって
たしかに違う
ぎらりと光るダイヤのような日は
銃殺の朝であったり
アトリエの夜であったり
果樹園のまひるであったり
未明のスクラムであったりするのだ
好きなのは、引用したうちの最初の2連なのですが、「銃殺の朝」がここに来るあたり、茨木のり子はすごいなあと思います。
5ページの「ドレスデン5 博物館」も更新しました。