さかなのためいき、ねこのあしおと

スウェーデン滞在記。現地時間の水曜日(日本時間の水曜日午後~木曜日午前中)に更新します。

神はブラジル人

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ブラジルのお酒「カイペリーニョ」については、「神はブラジル人 1」にも書きましたが、今回は、それを3杯飲んだ話です。

語学学校は、1日4時間半・週5日一緒にいるわけですから、2ヶ月も通うと、結構みんな仲良くなります(当然、仲悪い人も出てきますが)。お別れが近づいてくると、さよならパーティーも盛大に行われます。語学学校のスタッフに、兵役の代わりの社会奉仕活動で働いているドイツ人が二人いたのですが、その一人がもうすぐ年季明けだというので、3月17日に、お別れ会がありました。

パーティーは結構なのですが、わたしは次の日にベルリンに家を探しに行かなければならなかったし、日本の先生からも「黒ビールを飲み過ぎないように!」という、ありがたいメールを頂戴したばかりでした。そのころは連日2時半就寝で7時半起床だったし、その日は、今日は飲まずに、ちょっと顔だけ出してさっさと退散しようと思いながら出かけていきました。

そんなわたしを出迎えたのは、クールでかっこいいブラジル人。このブラジル人は、今も同じ大学に行っているので、パソコンルームなどでばったり会うことも多いのですが、服装がだんだんドイツ化していくのが残念です。彼の作るカイペリーニョには定評があり、ダンスも上手で人気者でした。

クール:「やあ、ててこ。よくきたね。これは君のために作ったカイペリーニョだ。さあ、どうぞ。」

これを断る馬鹿はいません。当然わたしの答えは、

わたし:「だんけ・しぇーん!(まあいっか、1杯ぐらい。カイペリーニョは黒ビールじゃないし)」

カイペリーニョは、ピンガーというアルコールに、輪切りにしたライムと砂糖を入れて作るのですが、このブラジル人は、まずコップにライムを入れ、砂糖を入れ、小さなすりこぎでつぶし、氷を入れてから、ピンガーを入れて作っていました。

1杯目のカイペリーニョを飲み終わったころ、やってきたのは、シャイでかっこいいブラジル人。このブラジル人は、寮が一緒で、机も一緒で、しかも同じ時期にドレスデンに来たので滞在許可や銀行口座開設の手続きも一緒にすることが多く、また、日系の友人がいるといってとても親切にしてくれ、一番仲のいい一人でした。ダンスがさっぱりなところも、またかわいい。

シャイ:「おや、ててこ。カイペリーニョがなくなったのかい?ぼくが教えてあげるから、一緒につくろうよ。我が家のは特別なんだ。まず、ライムを入れて、すりこぎでつぶす。それから砂糖を入れて、氷が3つなら、ピンガーをここまで、5つならここまで入れる。そして最後に氷を入れる。いいね、最後に氷を入れることがポイントだ。さあ、どうぞ。」
わたし:「だんけ・しぇーん(2杯くらい大丈夫じゃろ。カイペリーニョもこれが最後じゃし)」

2杯目のカイペリーニョを飲み終わったころ、やってきたのは、チャラくてどうしようもないブラジル人。太極拳を習っていたり、「禅」と書いてあるTシャツを着てきたり、突っ込みどころ満載でした。

チャラ:「おい、ててこ!さっきのシャイでかっこいいブラジル人の作り方を見ていたが、あれは何だ!あんなのは邪道だ。来い、俺様が本物のカイペリーニョを見せてやるぜ!まず、ライムを入れてピンガーをここまで入れる。それから砂糖を入れて、それからピンガーをここまで入れる。最後に氷だ。さあ飲め!これが本物のカイペリーニョだ!」
わたし:「・・・だんけ・しぇーん(・・・。)」

さすがに3杯目は全部は飲みませんでしたが、同じカイペリーニョでも作り方や味がちがうのにはびっくりで、最初のはさわやか、2杯目は甘口、最後のは辛口で、それぞれのキャラに微妙にマッチしていました。「我が家の味」というのもあるでしょうが、地域差もあるのかも。カイペリーニョの違いがそのせいかは分かりませんが、ブラジルは広いので、地域差は大きく、たとえばドイツ語のポルトガルなまりも、人それぞれでした。余談ですが、ついでに書いておくと、リオ・デ・ジャネイロサン・パウロは、仲が悪いそうです(大阪と東京みたいなもん?)。理由を聞くと、「リオで生まれたサンバが、サン・パウロで死んだから」。

さて、3杯目を飲まずにまったりしていると、やってきたのは、ハスキーボイスなのに、笑うととってもかわいいブラジル人。勉強会に誘ってくれたり、ブラジル人の秘密パーティに招待してくれたりと、この子もとても親切でした。ダンスが上手で、わたしはサンバのステップは彼女に習ったのですが、ボサノバも上手に歌えるとかで、聞く機会がなかったのが残念です。

ハスキー「ててこ!何してるの!ダンスが始まったわよ!あなたが踊らないで、誰が踊るの!」
わたし「・・・OK(いや、わたしが踊らんでも、踊る人いっぱいおるじゃろ)」

下手なのにダンスをするのは、最初は恥ずかしかったのですが、やってみるととても楽しかったです。カラオケの、うまく歌えなかったらどうしようという緊張感がなくて、わたしは好きでした。

ちなみに、次の日は、ちゃんと朝7時に起きて家を探しに行き、その結果、今ここにこうして住んでいるわけなので、カイペリーニョは、少々飲んでも大丈夫なようです。