この日は食事を終えた後、9時半か10時くらいには出発するつもりでした。しかし、前日の20kmウォークは地味にこたえ、一度横になるとついついゴロゴロしてしまいました。結局、チェックアウト時間ぎりぎりまで滞在し、12時前に出発。一日で去ってしまうのは惜しく、次は歩くのが好きな人を誘って一緒に来ようと思いました。
さて、この日は昨日の道をスキュループ駅まで戻るのが、一番簡単にルンドに帰る方法でした。しかし、「元気ならやろう」と思っていたことがあります。それは、さらに南下してスウェーデンの最南端スミーゲ岬に行くこと。
『ニルスのふしぎな旅』で、当初ニルスは、家に帰らず、小人のまま旅を続ける予定でした。ニルスを魔法で小人にしたトムテがニルスが人間に戻る条件として示したのが、「ニルスの両親がガチョウのモルテンを屠殺すること」だったからです。家の様子だけ確認して、またガンの群れに合流するつもりだったニルスは、次の日の朝に「スミーゲ岬の東海岸」でガンたちと落ち合うことになっていました。
しかし、結局ニルスは期せずして人間に戻ります(モルテンも無事でした)。最終章「ガンたちとの別れ」は、「少年は明け方に目を覚まし、海岸へと下っていきました。すっかり明るくなる前に、スミーゲ漁港の東の岸に着きました」という二文で始まります。
この描写から、わたしはニルスは海のすぐ近くに住んでいるのだと思っていましたが、西ヴェンメンヘーグ(の「ニルス・ホルゲルソン屋敷」)から最寄りの海岸までは8.1kmあります。そこから「スミーゲ岬」まではさらに8.1kmです。
5kmほど先のヨルドベルヤに住み込みではなく通っていたのではないかと思ったのは、この場面でいとも簡単に8kmの道を行っているからでした。しかも最初は小人のままそこに向かう予定でしたし、実際には人間の姿で向かったので、ガンと合流せずにまた8kmの道を家に帰るわけですよね。
最寄り海岸からスミーゲ岬はバスもあるらしいので、この日は、まずは最寄り海岸まで歩き、その後、スミーゲ岬まで、元気が余っていれば歩き、無理ならバスで向かう予定で出発しました。
「ニルス・ホルゲルソン屋敷」を出ると、雨がポツポツと落ち始めていました。昨日の教会をもう一度ぐるりと回り、ラーゲルレーヴ像とコワいニルス人形と自撮りをして、いざ、南へ向かって出発です。