「ニルス・ホルゲルソン屋敷まで500m」の標識のところに着いた頃には、あたりはかなり暗くなっていました。6月の夏至では11時半くらいまで明るいのですが、9月の秋分の日には昼の長さは12時間になるので、この間の日が短くなる速度はかなり早いです。8月の終わりはまだサマータイムなので、18時半は実際の17時半。日本とあまり変わりない日没時間です。
チェックインが比較的遅めだったせいか、ドアの前まで行くと、呼び鈴を鳴らしていないのに、宿の奥さんがまろびでてきました(わたしは3時間のチェックイン時間中に行けばいいと思ってたのですが、もっと早く着いた方が良かったと反省)。鍵をもらい、「あなたの部屋はここ。朝食はここ」とテキパキと案内し、ミルクティーを入れてくれました。「中で飲みますか?庭で飲みますか?」と聞かれ、少し肌寒いですがそこはスウェーデン式。「外で」と答えると、木でできた椅子に座布団を強いてくれました。
バラのきれいな庭でまったり座り、奥さんの入れてくれたミルクティーを飲みました。ミルクティーは、20km歩いた後のつかれた体に染み渡りました。
一杯目を飲み終わり、もう一杯飲もうとダイニングに行くつもりが、間違って隣のキッチンを開けてしまいました。ご主人がパンをこねているのが見え、「失礼、間違えました!」と飛び出したら、ご主人が続いて出てきました。「ごめんなさい、ダイニングにお湯を取りに行こうとしたんです」と言ったら、一緒に出てきた奥さんが「このお客さん、スウェーデン語を話すのよ」。
ご主人「こんにちは。ぼくは○○。今手が粉だらけだから握手はできないんです。明日の朝ごはんを作ってるよ!」
わたし「朝ごはん楽しみです~。さっきのミルクティーもとてもおいしかった。おかわりが欲しくて…」
奥さん「おかわりはいつでもできるように、あとでお湯を足してダイニングに置いておきますよ」
二杯目の紅茶はミルクティーではなくハーブティーにしました。ハーブティーを飲み終わり、部屋に入る前にニルス・グッズを眺めているとご主人と遭遇。ラーゲルレーヴの研究をしていることを話したら、ご主人のテンションがダダ上りし、「ちょっと待っててね!」と走って行ってしまいました。戻ってきたご主人が手にしていたのはラーゲルレーヴのサイン本。ラーゲルレーヴが西ヴェンメンヘーグに来た時に書いたもので、隣の農場にあったものを数年前にご主人が譲り受けたそうです。
ひとしきり会話に花を咲かせた後、一枚だけ外の風景の写真を撮って部屋に戻りました。部屋には夕暮れの日が差し込んでいました。