学会二日目の午後は、まず30分ほどバスに乗り、モールバッカからロトナロースに移動。ロトナロースはデビュー作『イェスタ・ベルリングのサガ』をはじめとする主要作品に「エケビュー」という地名で出てきます。
車窓からラーゲルレーヴ家の墓があるエストラ・エムテルヴィークの教会が見えました。今回わたしが扱った作品の主人公が葬られた「スヴァットシェーの教会」にあたるものです。
ロトナロースには劇場があり、午後はこの劇場で演劇に関するセッション&観劇でした。セッションでは学会に参加している演出家が登壇。ちなみに、登壇はありませんでしたが、俳優も聴衆として学会に参加していました。間近で見る俳優さんは、長髪や体格の良さも人目を引きますが、立ち居振る舞いもとてもかっこよかったです。
ラーゲルレーヴは1891年にデビューし、当時の文学史の主流をなすのですが、1910年代以降「時代遅れの作家」になっていきます。ラーゲルレーヴ学会の近年の関心のひとつは、『追放者』(1914)や『レーヴェンシェルドの指輪』三部作(1925-28)など「時代遅れ」とされてきた作品の再評価です。今回上演された『アンナ・スヴァード』は『レーヴェンシェルド』の第三部。ラーゲルレーヴが書いた最後の長編です。
音楽を演奏する人たちも観客から見えるところにいて、俳優はずっと踊りっぱなしのハードな舞台。途中に休憩時間が30分ありました。その日はずっと堅い椅子に座りっぱなし、スウェーデン語も聞きっぱなしで腰はゴワゴワ、後頭部もガンガンしていたので、わたしにとってもリフレッシュタイムとばかりに周囲を散歩しました。ポスターの後の写真8枚は休憩時間に撮影したもので、黄色い花の写真を撮ったのが18時40分。夏至時期のスウェーデンでは、この時間はまだまだ太陽が高いです。向こうにはラーゲルレーヴが「わたしの夢の湖」と呼ぶフリーケン湖(作中では「レーヴェン湖」)が見えています。
舞台の後半を見た後、ご飯を食べましたが、この席で演出家から改めて舞台に関する説明があり、かなり活発な質疑応答が飛び交いました。再びバスに乗って22時にエケビューを出発。ようやく太陽が沈みかけた車窓には細長い月が見えました。
カールスタッドのホテルに帰ったのが23時。この学会は年齢層が高いことが悩みなのですが、どうしてなかなか、みなさんタフな長丁場でした。