さてさて。少年ジャンプの人気連載漫画並みに引き延ばされたヴァーサ号特集も、これで最後になります。
「ヴァーサ号を造る」ことは、1620年代の一大プロジェクトでしたが、沈んだヴァーサ号を引き揚げることは、1950年代の一大プロジェクトでした。この記事では、ヴァーサ号の引き揚げと展示にまつわるあれこれをご紹介します。
沈んだヴァーサ号が「発見」されたのは1956年。アンデシュ・フランセンという学者が、ストックホルム湾のベックホルメン周辺で海中に器具を投じたところ(すみません、名前の分からない道具です)、ヴァーサ号の一部と思しき木片がくっついてきました。
▲これなんですが…なんていう道具かご存知の方がいらしたら、ぜひ教えてください。
それで、次に潜って調べたところ、どんぴしゃでヴァーサ号を発見。
▲その時使われた潜水具
▲サルベージ体験コーナー。この釣鐘の中に入れます。当然入りましたが、残念ながら、写真はありません。
▲その横にある説明書き
その後、スウェーデン王室などのバックアップのもと、さまざまな調査を経て、ヴァーサ号は1961年4月に引き揚げられました。まず浅瀬に移動させ、両側から船で釣り上げるのですが、中は水でいっぱいなので、段階的に水を抜きながらの作業でした。この様子は、テレビで全国放送されました。下記リンクから、当時の写真を見ることができます。
▲引き揚げられ中のヴァーサ号。ちょうど甲板が出たところです。
引き揚げられて、最初に乗船したのは、当時の国王グスタフ6世アドルフ(現国王カール16世グスタフの祖父)でした。考古学好きな王様だったそうです。
半年を経た同年11月、ヴァーサ博物館がオープンします。ヴァーサ号は、船体の95パーセントが残っていたとはいっても、色はすべて剥げてしまっています。きれいだった当時のヴァーサ号を部分的に再現したコーナーがありました。
▲船体にくっついている人形軍団を彩色したレプリカ
▲当時使われていた顔料や、その原材料となった鉱石や植物がおいてあります。
上2段は鉱石由来の顔料。一番上の緑のやつは、角度の関係でほうれんそうに見えますが、マラカイト(孔雀石)という鉱石。
上から3番目は植物由来の顔料。真ん中にあるみみずっぽいのは、日本でもおなじみアカネです。
▲華やかに再現された騎士の像。頭には内臓的なものがたくさんついています…と一瞬思ったのですが、よく見ると羽飾りでした。
▲きれいに復元された、船体後部中央の天使たち。
▲ちなみに本物は今こんな感じ。
ヴァーサ号特集はこれで終わりです。いかがだったでしょうか?
次回は、ノーベル博物館をご紹介します。
来週は、学会で九州に行かなくてはならないので(発表はしません、悪しからず)、更新はお休みします。次回の更新は、6月23日の予定です。