さかなのためいき、ねこのあしおと

スウェーデン滞在記。現地時間の水曜日(日本時間の水曜日午後~木曜日午前中)に更新します。

ラップランドの旅3 散々な目と、ちょっといいこと

 すみません、この記事、とてつもなく長くなってしまいました。半分くらいは愚痴っぽいので、そういうのがいやな人は、「そして、オーロラ・スポット」から始まる段落から読むといいと思います。
 
ラップランドの二日目は、大変な一日でした。
 
まず、昨日撮った北斗七星の写真を見て、オーロラらしきものが写っていることを発見。オーロラ写真の情報を集めた時、目に見えなくても写真に写ることはあると書いてあったのですが、その通りでした。つまり、出ていたのに、月が明るすぎて見えなかったんですね。
 
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北斗七星と、オーロラ的なもの
 
実はわたしは、日程を決める時、新月の方が空が暗いのでいいということで、24日にアビスコのオーバーナイトステイの予約を入れていました。しかしそれは、人数が少なすぎてキャンセルになってしまいました。その日でも、山小屋を訪ねることはできたのですが、18日なら、あと一人、つまりわたしが申し込めばオーバーナイトステイが成立するということで、そちらに変更したのでした。
 
18日は満月というのが気になりましたが、そうしたやり取りをしたのが、日本を出る直前で、あまり調べる時間がなく、たまたま見たサイトに、「満月はだめというのはデマ」と書いてあったり、相手先にも、4日に夜半までいるのと、18日に一晩いるのと、どちらが見える可能性が高いかたずねた際、「オーロラは毎日出ていて、見えるかどうかは天気のみに関係する」という返事が来たこともあり(今にして思えば、そういう聞き方をせず、月の事をはっきり聞くべきでした)、18日にしたのでした。町灯りの中でも見える時は見えるのだからと思いましたが、満月があんなに明るいものとは、昨日まで思いもしませんでした。
 
先ほどの3時間半ウォーキングの後、ホテルのインターネットでメールチェックがてら検索すると、どのサイトでも「満月は論外」的な感じで、申し訳程度に、「満月だからと言って見えないわけではありません」と書いてあり、過去にキルナでオーロラが見えた日を見ても、満月で見えたのは、数年のうち一度だけ。なんかこれを見て、絶望的な気持ちになりました。
 
おそらく、わたしが申し込めば成立する18日のオーバーナイトステイをキャンセルにしたくなかったのでしょうが、一生に何度もないチャンスに、大金を払っていくのに、月のことを説明しないのはひどいと思いました。スウェーデンには2ヶ月いるわけだから、3月の新月の時でもよかったし、半月だって満月よりは条件がよかったはずです。何より、そんな肝心なところで大事なことを確認しなかった自分に腹が立ちました。4日は体調が悪かったし、11日は天気が悪かったし(キルナはマイナス40度!)、などと思ってみても、それはそれ、これはこれ。雪の中3時間ウォーキングで凍えきり、悲しい気持ちでキルナ行きのバスに乗りました。
 
キルナについて、更に悲劇は起こりました。予約していたホテルに着いたところ、「来た人はこの番号に電話してください」という貼り紙が。そう遅い時間でもなかったのですが、受付に人が常駐していないのかなと思い、電話して(電池も少ないし電話代も高いのに!)、「ホテル××ですか?」とたずねたら、「違います」と言われました。
 
携帯が日本のなので、接続できないのかと思い、駅に戻って公衆電話を使おうとしたのですが、こちらは、ボタンを押してもプッシュできません(多分、ボタンが凍ってたんだと思います)。仕方がないので、もう一度、予約表にあった番号に携帯から電話しました。
 
わたし「ホテル××ですか?」
女の人「ホテル××は閉鎖されました」
わたし「!!!!!??????!!※※?? そうですか」
女の人「あなたは別のホテルを探さなくてはなりません」
わたし「分かりました、ありがとうございます(今ここでどうやって探せと!?)」
女の人「ところで、なぜあなたは、この番号に電話したのですか?」
わたし「(よくぞ聞いてくださった!)このホテルをインターネットで予約しており、ホテルに到着したところ、この番号に電話するように書いてあったからです」
女の人「あなたは予約していたのですか。「極北のエデン」に泊まればいいでしょう。人をよこしますから、そこにいてください。」
 
もう意味が分かりません。英語な上に電話だし、そもそも電話にでた人は誰なのでしょう。本当に人が来るのかわからず、なぜいきなり別のホテル名が出てくるのかもわからないまま待っていると、タクシーが来て、「極北のエデン」(なんだか、こないだ書いた論文と微妙に名前がかぶっていますね。Rさん、その節は大変お世話になりました)に連れて行ってくれました。タクシーの運転手さんも事情をよくわかっておらず、ただ、料金は要らないということでした。
 
受付でよくよく聞いてみると、わたしが泊まる予定だったホテルが経営会社の都合で閉鎖されたため、わたしは同じ料金で、「エデン」に泊まれるということでした。
 
そういえば、出発の前の日に、地図をダウンロードしようと、予約サイトに行くと、「現在予約できません」となっていたのを、単に、予約で埋まっているのだろうと思い、気にしなかったのですが、少なくともその時点では閉鎖されていたのに、連絡もよこさないなんて、びっくりですよね。携帯がなかったら、凍死してたところでした。しかも、「ホテル××」は、ドアが開いて、部屋には電気がついていました。イメージ戦略かな?
 
とりあえず、泊まるところができたのでほっとしたのですが、そもそも「ホテル××」を予約したのは、オーロラを待つための小屋がついているからでした。「エデン」には、そういうところ、あるのかな?受付で聞いたところ、ホテルから歩いて15分の場所に、オーロラがよく見える場所があるということ。ただし、待つところはなくて、路上だということでした。オーロラが見えるピークは、10時から11時とされているので、9時にホテルを出発することにし、元気を付けようと、いかにもお一人様お断りてきなレストランでサーメ料理(鮭の焼いたのとジャガイモのゆでたの)を食べました。 
 
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サーメ料理。向かって左側に芸術的に盛り付けてあるのがジャガイモです。
 
部屋に戻ったのが8時半。早くに出ても、11時まで待てません。出発まで、することもないので、体を温めるために布団に入り、「アーランダ空港11時間事件」に始まるツイテないわが身を振り返って、くよくよすることにしました。
 
9時にホテルを出ると、空には雲がかかっていました。もうだめかと思いましたが、そんなに厚い雲ではなく、星が見えるところもあったし、いつも学生に、「あきらめたらそこで試合終了だよ」などと言って親しみやすさをアピールしているので(いつまで通じる­か、このネタ)、わたしがあきらめるわけには行きません。
 
そして、オーロラ・スポットについた時!!!空が少し緑になっていました。昨日の写真で学んだのは、オーロラは北の空に出るということ(考えれば当たり前ですね、北極に近いほど見えるわけですから)、目には見えなくても写真には写るということでした。
 
今回のオーロラ撮影では、写真に詳しいBさんに全面的にお世話になったのですが(Bさん、本当にありがとうございました)、「まず天体を確認し、落ち着いて準備する」と言うBさんの言葉を思い出しつつ、カメラをセットし、シャッターを押しました。すると、はっきりオーロラとわかるものが写っていました。
 
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 記念すべき初オーロラ写真
 
この時、なんと、曇り空が幸いし、月のある南の空は雲が厚く、オーロラのある北の空は雲が少なかったんです。テレビや写真で見る、全天を覆うようなすごいオーロラではありませんでしたが、そこまでのものは最初から期待していませんでした。自分の目で、揺らめくオーロラを見られたことがとてもうれしかったです。
 
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雲に隠れても明るい月
 
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カシオペア座とオーロラ
 
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一度月が雲から出てきて、オーロラが見えなくなったのですが、その後、また見ることができました。二度目のオーロラは、最初のよりも光が強いものでした。
 
 
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色が薄くなり、空に消えていくオーロラ
 
結局、月にかかった雲が晴れるまで2時間、オーロラを見ることができ、写真も100枚以上撮ることができました。オーロラが消えた時は、カメラにも三脚にも霜が降り、わたしも歯の根があわないほどに凍えていましたが、とてもうれしく、足取りも軽くホテルに帰りました。月のせいで青くなった空にかかるオーロラの写真も、テレビなどに出てくる新月に撮った写真とは違う、いい意味で素人的な趣があって、気に入りました(負け惜しみのように聞こえるかもしれませんが、どうせプロのような写真は取れないので、自分が嬉しければそれでいい、ということにしてください)。
 
胸が打ち震えるような感動はありませんでしたが、ベルリンのときと同じように、未練があればきっとまた戻ってこれるとも思いました。多分、今回の旅行は、わたしにとって、4月からの新生活の願掛けみたいな意味もあったのでしょう、ホテルでくよくよした時には、これからの生活も、うまくいかない気がしました。でも、この時、たくさんの大変なことの後には、なにかちょっと良いことがあるはずだと思いました。
 
就寝したのは2時半で、次の日は、ぎりぎりまで寝るつもりでしたが、うれしくて早くに目が覚めました。朝食会場のレストランで流れていた「You Raise Me Up」が、妙に心に響きました。