更新が遅くなりましたが、6月6日の、「建国記念日」の記事です。
まず、この記念日の成り立ちから。
去年の記事でも取り上げたのですが、ストックホルムに「スカンセン野外博物館」という博物館があります。
スウェーデンでは、19世紀後半からアメリカへの移民が活発化したこともあり、失われた「伝統」とか「祖国」とかが意識されるようになりました。いつもながら話がそれますが、たとえば、日本の小学校の「図画工作」は、スウェーデンを参考に始まった科目なのですが、これも、移民や工業化によって手仕事が廃れたことから、学校で手工を教えるようになったのが始まりだそうです。こうした風潮の中、アルトゥール・ハゼリウスという人が、移民により住むもののいなくなった家などをスウェーデン各地から集めて、1891年に私財を投入してオープンしたのが、スカンセンです。
スカンセンのパンフレットによると、ハゼリウスは、6月6日を、1523年にグスタフ・アドルフが即位した日であり、1809年に憲法が制定された日であることから、国旗を立てて祝うようにしたそうです。1893年には、「建国記念日」として議会で承認されました。祝日になったのは、2005年からで、デンマークで「風刺画問題」が起ったのと、同じ年に当たります。
遊びに行ったから言い訳というわけではなく、今回ストックホルムに行ったのは、一つには、スウェーデンのナショナリズムについての資料集めが目的でした。こういった行事の問題点や是非については、今後の研究課題として取り上げて行きたいと思います。今回の記事は、「祭としての建国記念日」が、どのようなものか、をご紹介するにとどめます。
この日は、王宮が解放されます。最初の写真は開場を待つ人たちと、軍楽隊です。このあと、国王夫妻が出てきて、10時に開城。軍楽隊のパレードなどを、城の中庭で見ることができます。