さかなのためいき、ねこのあしおと

スウェーデン滞在記。現地時間の水曜日(日本時間の水曜日午後~木曜日午前中)に更新します。

満開のりんごの花

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突然ですが、わたしには、「生涯に一度は見ておきたい4つのもの」というのがありまして、それは、

1.360度丸く広がる水平線
2.満開のりんごの花
3.ダイヤモンドダスト
4.オーロラ

です。いかにも北欧文学やってる南方人のラインナップですね。このうち、1.は10年ほど前に見たことがあり、今回、2.も見ることができました。このままだと残りの人生が短いので、もう2つ3つ追加しようかなと思っています。

りんごの花は、遠くから見ると桜に似ていますが、桜よりも木が小さく、また、桜は花が終わったあとに葉桜になりますが、りんごは花と葉が同時に見られます。花自体も、枝ぶりも、桜より華奢で、気負うところが少ない感じです。もちろん、桜は桜で好きですが。

わたしがりんごの花にあこがれたのは、リンドグレーンの『五月の夜』という作品がきっかけです。りんご園に住む女の子が、誕生日にレースのふち飾りのついたすてきなハンカチをもらうのですが、その夜、妖精がやってきて、今夜王子様がおきさきを選ぶ舞踏会があるのに、自分にはドレスがないから、そのハンカチを譲ってくれと女の子に頼み、女の子はハンカチをあげて、代わりに妖精の舞踏会を見せてもらう、という話でした。舞踏会の後、お礼を言いにやってきた妖精に、女の子は「王子様はきっとあなたをおきさきに選ぶわね」と言うのですが(わたしも当然そう思って読んだのですが)、小学校2年のころに読んだ妖精の返事の衝撃を、今も忘れられません。

「わたしは、そうなるとは思っていないわ。それに、そういうのはどっちでもいいの。もしか、わたしがようせいのおきさきになれたとしても、今夜のわたしのように幸せにはなれないわ。今夜のわたしのように幸せになれるのは、だれだって、一生に一度だけしかないんだわ。」

わたしは幼稚園のころから、「白雪姫」や「シンデレラ」よりも、「人魚姫」とか「白鳥の湖」とかが好きでした。たぶん、こういったものに近づきたくて、わたしは文学をやっているわけですが、思うに、文学とは、成就しなかった思い、届かなかったの結実ではないでしょうか。

…と語りだすと止まらなくなるので、この辺で失礼します。次からは歯切れのよい記事を心がけます。