さかなのためいき、ねこのあしおと

スウェーデン滞在記。現地時間の水曜日(日本時間の水曜日午後~木曜日午前中)に更新します。

ドゥラス・グリュンバイン

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13日、ベルリンの「ルネサンス・シアター」で、ドゥラス・グリュンバインの講演会がありました。

グリュンバインは、1962年、ドレスデン生まれ、ドイツの作家の登竜門「ビューヒナー賞」(1995)はじめ、各章を総なめにする新進気鋭の作家・詩人・翻訳家・エッセイストです。以下のサイト(ドイツ語)は、グリュンバインが作品を出版しているズーアカンプ社のグリュンバイン特集ページです。

http://www.suhrkamp.de/autoren/autor.cfm?id=1635

この人は、頭蓋骨がまだ固まってない生まれたての赤ちゃんの頭がべこべこしているのは、宇宙と交信しているのだというような、わけわからん詩を作る人で、現代文学の苦手なわたしには、およそ遠い存在です。

わたしが名前を知っているのは偶然で、以前、「ホロコースト警鐘碑」の記事でご紹介した「「壁」なき時代のドイツ文学」なる授業で、4人の戦後作家の一人として取り上げられたからでした。

https://blogs.yahoo.co.jp/megamiyoutae/11178737.html

そのときも、クリスタ・ヴォルフの方が好みだったのですが、この講義をした先生に学んだ一番のことは、どんな時代を専門にしても、好きでも嫌いでも、常に同時代のものに目を向けることの大切さと面白さでした。

その意味で、苦手なグリュンバインにも、自分から作品を読むとまではいかなくても、なんとなく注意は向けていたのですが、グリュンバインは、その後、来日して大学で自作朗読をしてくれたり、2005年の「日本におけるドイツ年」でも、わたしは参加できませんでしたが、講演会をしたりと、「縁のある」作家で、そんなこんなで、13日のベルリンでの講演も、ゼミでの発表前日でしたが、出かけてきました。

びっくりしたのは、小さいとはいえ劇場での講演だったにもかかわらず、大入り満員で、しかも老若男女そろっていたことでした。講演そのものは、あんまり寝てなかったからなのか、グリュンバインだからなのか、実のところさっぱりピーマンでしたが(やっぱりわたしには現代文学は向かない)、その後のサイン会で、「以前、日本の大学で自作朗読をされたことを覚えていますか。わたしはそのとき、あそこにいました」と話しかけてみると、「よく覚えています」との返事で、「ベルリンでの勉強、がんばってくださいね」とまで言ってくれ、すっかり感激してしまいました。

帰りの電車で、わけわからんとか言わず、最新のものを読んでみようと決心したのですが、やっぱり、本が2冊並んでいると、グリュンバインじゃない方を手にとってしまいます。同時代文学への道のりは、遠そうです。